輝く月の夜に-第二章- 第五話

悪夢

──「それに……長年の夢だったんですよ。貴方をこの部屋に迎えるのが」
 編集者の瞳がうっとりと翳った。
「夢?」
 セバスチャンのグラスにワインを注ぎ終えると、編集者は蛇のような目つきでじっとりとセバスチャンを見つめた。
「ぬばたまの夜に輝く月のように美しい──セバスチャン・ミカエリス。私は貴方を手に入れたかったんですよ」──

 そう、夢だ。
 彼は、夢そのもの。
 書籍部を訪れていたその青年を見たとき、たちまち心を奪われた。「あれが人気上昇中のデザイナーだよ」。同僚の囁きが耳に入る。
──夜の月。冷たく蒼く冴えた月。
 本から小さなカードまで、彼がデザインしたものはすべて漁った。どんなものも彼の手にかかると、魔法のように美しくなる。
 結婚したときからすでに疲れ果てていた妻と、望んだわけでもないのにいつの間にか出来てしまった子どもたち──日々の澱が醜く淀む家庭から背を向け、河の近くの古いビルの一室を借りた。住人のほとんどいない、廃墟のようなビルだ。週末に自分の手で内装を施し、本棚を手作りし、彼の作品を収めた。それで満足すると思っていたのに。
──足りない。まだ、足りない……
 淀んだ澱は腐り、やがて心に闇が巣食った。
──この部屋に彼を。彼が……欲しい。
 情報通の同業者から、美貌の売れっ子デザイナーが足繁く出入りするクラブを教えられた。
 繁華街から少し離れた路地の奥。セレブリティに人気のそのクラブは、倉庫をリノベーションした空間が魅力だった。妖しい照明にダウナー系の音楽。噎せ返る香水、カクテルグラスの音、囁かれる淫靡な言葉、そして微かにドラッグの匂い……。白人に黒人に東洋人。ゲイ、レズビアン、ストレート。人種も性別も性の趣向もさまざまな客たち。共通点は、若く美しいということ。
 限られた美しい人間しか入れない、美しい世界。
 手持ちの安服から選んで、それらしく着飾ってみたものの、周囲の美しい人々からは完全に浮いているのを自覚した。ただ、少しばかり幸運だったのは、彼らは他人を全く気にかけていなかった。自分や自分の属するグループに夢中で、そこからはみ出た人間に注目するものはいない。それがわかって、安堵した。
 彼は、どこにいるのだろう。
 ひときわ背の高い、彼の漆黒の髪が見えたとき、走り出さないように自分を抑制しなければならなかった。どこにいてもすぐにわかる。彼は特別な空気をまとっているから──。
「……いやあ、オジさんにはそぐわない場所ですよね」
 セバスチャンに向かって、編集者は照れくさそうに笑った。
「若ぶっても、私服のセンス全然なくて、格好悪くて……。でも、貴方の作品を集めるだけでは飽き足らなくなって、貴方自身のことを知りたくなって、あのクラブにちょこちょこと通ったんです。私、貴方の声が聞こえるぐらい、近くに居たこともあるんですよ。
──『今夜はおひとりですか?』
──『こちらにいらしたら、いかがです?』
 それが誘うときの貴方の決まり文句でしたね。いつか、私に声をかけてくれるかも……なんて思ったりもしました。結局、一度もありませんでしたけど。当たり前です。私みたいなずんぐりむっくりな親父が、貴方の目に留るわけがない。貴方が選ぶ人たちは、男も女も飛び切り美しくて、ときにひとりだけじゃなくて、二人、三人と……。クラブの薄暗い片隅でキスをして、着衣のまま身を絡め合っているのを、ドキドキしながら盗み見ていました。あの後はどうされたんでしょう? 貴方のマンションで、みなさんと楽しいひとときを過ごされたんでしょうか?」
 編集者は欲望に濁った目でセバスチャンを舐め回した。
「さあ、忘れました……。手当たり次第に喰い散らかすような真似は、もう、飽きましたから」
「ああ! そうでしたよね。貴方はピタリとクラブに現れなくなり、やがて婚約したと聞き……。取材に伺うことが決まったとき、天にも昇る心地でした! 嬉しかった。貴方と直に言葉を交わせる。貴方の仕事部屋を見ることができる! なんて幸運なんだろうと思いました。けれど……そこには貴方の婚約者がいた。まさか、まさか……あんな子どもだったとは。噂に聞いていましたが、実際に見るまで信じられなかった。こんな子どもに貴方を奪われ、貴方のデザインが貶められたかと思うと……辛かった。貴方を失いたくない。美しい貴方とその創造物を永遠に保存したい。私はそう願い、そしてラッキーなことが起こって、貴方を手に入れることができました。
 大丈夫ですか? ミカエリスさん。頭の怪我、痛みますか? 申し訳ありません。『我々』は誘拐なんて初めてなものだから、力の加減がわからなくって」
──……初めて?
 耳に届く編集者の声が急に大きくなったり小さくなったりする。気分が悪くてろくにものを考えられない。
「貴方はよくがんばりましたよ。その怪我で丸二日間、こんなにクソ暑い部屋で。ひょっとすると、もう死んでいるかもしれないなと思いながら、今日は来たんですよ。生きて、きちんと仕上げてくれて、本当に嬉しい。最期の作品が未完成だなんて、締まりませんからね」
 セバスチャンは吐き気を抑えて、どうにか声を絞り出した。
「……最期、とは?」
「ええ、最期なんですよ。貴方の人生は、今日、ここでおしまいです。私が貴方の息の根を止めるんです。ああ! ぞくぞくします。大好きな人をこの手で永遠に保存できるなんて! 大丈夫、苦しいのはほんのちょっとだけですよ」
 荷物の中をごそごそと探り、やがて紐の束を取り出した。セバスチャンは逃げようと立上がったものの、腰が立たずに椅子からずり落ちてしまう。
「……ッツ」
「ほら、ただでさえ弱っているところに、あんなにガブガブ飲むからですよ。ああ、そうか。暑くて、とても喉が渇いていたんでしたね。可哀想に。
 いやあ、ミカエリスさんは本当にあの子が好きなんですねえ。あの子を餌にしたら、簡単に誘い出されて、簡単に閉じ込められて、そして簡単に死んでいく。それもこれも、大事なあの子を守りたいからでしょう? 守るような価値もない、穢れた子どもを──」
 床に崩れ落ちたセバスチャンの胸の上に、編集者は跨がり、紐を首に巻きつけた。反撃したくとも、もはや指一本持ち上げられない。
「まだ、聴こえていますか? 貴方はこの部屋で、作品と共に永久に生きるんです。椅子に座り続ける貴方の屍体はきっと惚れ惚れするほど美しい。目に浮かぶようですよ、4台のMacの前で永久にデザインし続ける貴方の姿……これでようやく、私のコレクションが完成しました!」
「狂っ……て、いますよ」
「それでもまったく構わないんです、ミカエリスさん。正気でいたいなんてこれぽっちも思わない。だって、こんな私でも、社会で生きていけるんです。人々に紛れて、普通の男として働いて給料もらって、地味にひっそりと生きていられるんです。誰も私のことを異常だなんて思いません。貴方を殺しても、誰にも気づかれませんよ」
「ば……かな……」
「冥土の土産に教えてあげますよ。『我々の山羊』なんて、嘘です。作り話なんですよ。あの日……あのモデル撮影の日、シエル君の焼印に気づいた人間が、私の他にもう一人いましてね。その彼と一緒につくり上げたシナリオなんです。
 『我々』──私と相棒──は、シエル君の過去を随分調べたんです。新聞のアーカイブにはそれらしいものがなくって苦労しましたが……ただ一件、見逃しそうな小さな記事がありました。4年前、両親と英国旅行中に行方不明になった米国籍の少年が、背中に火傷を負った状態で発見され、保護された。記憶を失っていたため、犯人の手がかりなし、と。名前は伏せられていたけれど、これがシエル君ですよね?」
「……」
「黙秘ですか。まあ、いいです。私と相棒は、これは使えると思ったんですよ。いやあ、『我々の山羊を返せ』、『我々が付けた獣の印があるはずだ』なんてね、よくできた台詞じゃありませんか。すっかり貴方は罠に引っかかってしまった。
 だけど……まんざら、はずれてはいなかったんですね? シエル君はかつて本当に誰かに攫われ、監禁され、そこで従属の烙印を押された。そして……たっぷりと『穢らわしいこと』をされたんでしょう?」
 編集者はセバスチャンの反応を試すように問いかけた。
「それが、なんだと……いう、のです」
「なるほど、彼が無垢でないことは承知の上で結婚ですか……。それほど愛しているなんて……ますます許せませんねえ」
 ぎりぎりと一層強く首を絞められ、セバスチャンの口から舌がだらりと垂れ下がった。顔はすでに鬱血して青紫色に変色し始めている。
「今頃、あの子も逝ったことでしょう。あのおじいさんのおかげで、少し予定が遅れましたが、あの世ですぐにまた逢えますよ……貴方の大切な婚約者にね」
 その言葉を聞くと、セバスチャンは目をカッと見開き、懸命にからだを動かそうとした。
 編集者は全体重をかけてセバスチャンのからだを押さえ込み、渾身の力で絞め上げる。
「……グ、ッ!」
「抵抗しても苦しいだけですよ……ああ! 瞳が。紅い! 魔性の獣のようだ。美しい……。いつもよりもずっと美しいですよ。その紅い瞳のまま、逝ってください。私が看取ってあげますから……」
 意識が遠のく。
 呼吸ができない。頭に血が上る。
 目の前に赤や緑の点がちらつく。
 もがいて、もがいて、もがいて、掴もうと伸ばした手は、しかしなにも掴めず、ゆるやかに宙に弧を描いて、そのまま力なく落ちた。

──シエル…………!

***
 「セバスチャン?」
 シエルははっと頭を上げた。すぐ近くにセバスチャンの声が聴こえたような気がしたのだ。
──なんだろう。胸騒ぎがする。
「どうかしましたか?」
 テーブルの向こうには、訪れた客──シエルを撮影したカメラマンのアシスタント──が座っていて、持参した大きなファイルを開こうとしているところだった。
「あ……なんでも、ないです。あの、セバスチャンに頼まれたものって?」
「厳密にいうと、頼まれてはいないんですけどね。シエルさんに見ていただきたくて」
「え?」
 アシスタントは小さく笑うと、丁寧な手つきで、ファイルに挟まれていた大判の印画紙を取り出した。ひと目見るなり、シエルは絶句する。
「あの日……あのモデル撮影の日、貴方が着替えているときに、撮りました。綺麗でしょう?」
 滑らかな白い背中に、醜く引き攣れた円形の古い火傷の痕。よく見れば、二匹の蛇をモチーフにした焼印であることがわかる。シエルは震える指で、印画紙を次々とめくった。着替え途中のシエルの裸体がモノクロで写し取られている。
「盗撮したりしてすみません。でも凄く素敵な焼印にそそられてしまって、我慢できませんでした。僕の小さな恋人たちにも、そういう印を付ければよかったな。僕、貴方みたいな少年が大好きなんです。児童性愛愛好者っていうんですか? そんな風にいわれたりしますけれど……子どもって綺麗じゃないですか。肌なんてマシュマロみたいにふわふわ、滑らかです。匂いも儚くて……そういう子を犯すのが好きなんです」
 何気なく言われた言葉に、シエルはぎくりと身を固くした。
「僕、前に子どもを犯して、捕まったことがあって……。もう二度と刑務所には行きたくないんですよ。あんなところに行くのはまっぴらだ。だから、貴方を盗撮しているところを見られて、あの編集の人に脅されたとき、協力するしかないって思いました……でも、結果はそれでよかったんです。あの男はミカエリスさんが欲しかったし、僕は貴方が欲しかった。ふたりとも欲しいものが得られるわけだから」
 アシスタントは人差し指で、印画紙の上のシエルの焼印をゆっくりとねぶるように辿った。
「ねえ、シエルさん。この焼印を付けられたときの話を聞かせてくれませんか? どんな、いいことをされました? ねえ、黙っていないで教えてくださいよ。どんなことしたんです? しゃぶった? 挿れられた?」
──嫌だ。思い出したくない。
「貴方みたいな綺麗な子がする奉仕って、ひとつしかないですよね? そのからだで、何人を気持ちよくさせたんですか」
「知らな……い……、知らないです……!」
 蒼白な顔に汗をびっしり浮かべ、喘ぐように呟いたシエルに、アシスタントはつまらなそうな視線を投げた。
「なんだ、本当に覚えていないんですか。残念だなあ。おもしろいことを聞けると思ったのに……。じゃあ、ミカエリスさんは? ミカエリスさんは貴方をどんな風に抱くんですか? 優しく? 激しく? ときに鞭で打ったりするんですか」
 シエルは強くかぶりを振った。
「……そんなこと、しない!」
「そうですか。彼は紳士なんですね、穢れきった貴方を優しく抱くなんて。シエルさんはそんな彼が大好き? でも、ミカエリスさんはもう二度と帰ってこられませんよ。僕を脅した男は、筋金入りの変態です。ミカエリスさんのために、ずっと前から部屋を用意していたそうだから」
「……! セバスチャンは、どこにいるんですかっ」
「さあ。貴方は、僕の聞きたいことにちっとも答えてくれないんだもの。教えてあげませんよ」
「そんな……ッ。お願いです、教えてください」
「そうですねえ……いい子になって、僕の言うことを聞いてくれたら、ミカエリスさんのところに連れて行ってあげてもよいですけど」
「いい子……?」
 シエルは食い入るようにアシスタントの顔を見つめた。アシスタントはソファにくつろぎ、意味ありげに笑って、足を大きく広げる。
「簡単なことですよ、シエルさん。ミカエリスさんにするように──僕を、舐めてもらえませんか」
 唖然とするシエルに、猫なで声で続けた。
「悩んでいる暇なんてありません。急がないと、彼は死んでしまいますよ」
「死、ぬ?」
「ええ。変態さんが永遠だのコレクションだの、わけのわからない妄想を聞かせてくれましたけど、それってたぶん殺すってことです。だから、シエルさん、早くしましょうよ。僕、貴方を抱きたくて、結構な罪を犯したんです。ご褒美をくれてもいいでしょう?」
「……」
「早くしないと、生きているミカエリスさんに会えないかもしれませんよ」
 その言葉にシエルは、はじかれたように立上がった。カクカクと自動人形のようにぎこちなく歩き、アシスタントの前に跪く。細い腕を伸ばし、はち切れんばかりに盛り上がっている男のジーンズに指をかけ、ゆっくりとジッパーを降ろした。
「そう、いい子ですね。貴方のような美少年がそんなことするのは、最高に気分がいいです。っ……くっ、焦らさないでください」
 ブリーフに触れたところで、シエルの指が止まった。顔を股間に近づけていく。
「ハァッッ……! もう、その顔だけでイきそうです……」
 視線をシエルに据えたたまま、アシスタントが背をソファに倒した。
 美しい少年の唇が自分の性器を包みこむ──卑しい期待が最高潮に達した瞬間、後ろからぐいと両脇に腕を差し込まれ、ふわりとからだが浮いたかと思うと、一気に壁に叩きつけられた。
「ぐぇえッ!! な……っ?」
 目を疑った。いつの間に忍び寄ったのだろう。視界いっぱいに、追い払ったはずの老人が立ちはだかっている。
「なんで、お前っ!! 家に戻ったはずだろう? だって……僕が、火を……!」
「帰宅したと見せかけて、ひそかにここへ戻ってまいったのです。なるほど、貴様が火をつけた張本人とな……我が家に火を放って、ただで済むと思っておるのか、この痴れ者ッッ!!」
 窓ガラスがビリビリと激しく鳴った。
「ひィ……」
 タナカの一喝に、アシスタントは怖れを為して震え上がり、壁ににじり寄る。
「シエル坊ちゃん、よくがんばりましたな。打ち合わせ以上の出来でしたぞ!」
 シエルをねぎらって抱き起こし、情けなく床に踞っているアシスタントの腹を思い切り蹴り上げた。
「さあ、さっさとミカエリス君のところに案内なさい。少しでも抵抗したら、容赦いたしませんぞ!」

***
 事件は終わった──。
 隠れ家に飛び込んだシエルとタナカによって、編集者はセバスチャンからもぎ離され、駆けつけた警察官にアシスタントと共に引き渡された。編集者はずるずると引き摺られながらも、シエルに憎悪に満ちた眼差しを向け、「お前は穢れた悪魔だっ!、お前がミカエリスさんをダメにしたんだっ!」とわめき散らし、その言葉はシエルの心を深く抉った。
 セバスチャンは直ちに病院に搬送されたが、すでに心肺停止状態で生存は危ぶまれた。タナカ自ら州立病院の医師団を率い、その懸命な努力によって、脳内にできていた血腫を取り除き、かろうじて一命をとりとめたものの、意識は戻らず、まだ予断を許さない。シエルは病室に寝泊りして、セバスチャンの容態を見守り続けた。

 警察の聴取から戻って来たタナカに事件の全貌を聞かされたシエルは、大きなショックを受けた。
 すべては、あの日……あのモデル撮影の日に始まったのだ。
 虎視眈々とセバスチャンを狙っていた編集者が、シエルの着替えを盗撮したアシスタントカメラマンを脅迫して協力させ、過去の誘拐を模倣した狂言を書き、ふたりともまんまとそれに踊らされてしまったのだ。
──もし、あのとき、僕がモデルをやるなんて言い出さなければ……。
 事件は起こらず、セバスチャンはこんな目に遭わずに済んだかもしれない。頭に白い包帯を幾重にも巻き付けられ、人工呼吸器で口元を塞がれた痛々しい姿を見つめた。首には絞められたときの青黒い痕が、刺青のように生々しく、くっきりと残っている。
──ドクターの家だって……。
 建物の被害は小さかったが、庭に油をまかれ、大切な薔薇を焼き尽くされて、タナカは一回り小さくなったようにみえた。シエルに責任はないから気にするなと強く言われたが、それをそのまま受け取ることはできなかった。
──僕のせいだ。僕が、悪いんだ。
 自分のほんの小さな願いのために、こんなことが起きてしまうなんて──。
「セバスチャン……ごめん。ごめんね……ごめんなさい」
 ぽろぽろと涙がこぼれた。
 意識が戻ったら、真っ先に謝ろう。謝って……。それで全てが償えるとは思わない。でも謝るしかないんだ。

 シエルは両手でぎゅっと強くセバスチャンの手を握った。
──神様、お願いです! セバスチャンを助けて。連れて行かないで!
 笑って、抱き合って、会話して……一緒に同じものを見たい。一緒に同じものを食べたい。一緒に同じ時を過ごしたい……!
 お願いです。
 セバスチャンと、一緒に生きたいんです。ずっとずっと先まで、まだ一緒にいたいんです!
 どうか、どうか! 助けてください……

 少年は必死に祈りを捧げる。
 だが、男は深い眠りから覚めない。

 朝は、まだ来ない。

to be continued….